SEIJI FUJIWARAのブログ

30代、貿易課で働く双子の父です。

「僕たちはもう帰りたい」(ライツ社)

 2019年中頃に読んだと思う。出版されたのは2019年3月。仕事に向き合うなかで「もう帰りたい」事例を年齢性別偏りなく集めた1冊。タイトルの「もう帰りたい」に惹かれて購入。私自身、5年くらい前まで「もう帰りたい」のメンバーだった。今だから「もう帰りたい」は何に向けられていたかよく分かる。

 当時「もう帰りたい」を心の中でよくつぶやいていた。幸か不幸か愚痴を言う相手が職場におらず、口に発することはなかった。部署の違う職場の同僚からは「よく耐えてたね」と当時のことを笑いながら言われたこともある。「もう帰りたい」という言葉に後ろ向きで、負け犬、打たれ弱いみたいなイメージがあった。別に家に帰りたいわけではなかった。残業はなく、定時で帰えれる環境だったが、すぐに家に帰るのがはずかしかった。父親から「楽な仕事だな」と言われたりもした。おかげで、地元のBARでウイスキーやカクテルにはハマってしまう。

 

 私の場合、「もう帰りたい」はもっと実感がこもった仕事をしたい、分かってもらいたい、でもそれが誰にも伝わらないもどかしさだった。一人で大半の業務を担当し始め、今年の3月末で4年になる。大変なことも多かったが「もう帰りたい」と心の中でつぶやくことはなくなった。

 それにしても、2019年では当たり前だった日本企業の不合理がコロナ禍で諸悪の根源として表に出ている。この本が出版された当時よりも、企業は残業を抑制しているし、オンラインツールを使わざる負えない状況になった。残業することが会社に対する謎の貢献度高め感を醸し出していたが、それも一掃されつつある。

 因みに、ライツ社さんは地元神戸の西隣の明石市に拠点を置く出版社。東京一極集中の出版業界において、しかも明石で本作りをされていることを知り好感を持っている。

僕たちはもう帰りたい(ライツ社)

僕たちはもう帰りたい(ライツ社)