「日本人がかわいそうです。」
「このままじゃあ、外国からどう思われるか・」
取締役インド人の機嫌が悪い。
いろんなことが重なっているのだろうが、彼女は日本人をときに憐れむ。
日本で10年以上駐在経験を持ち、流暢な日本語を話す彼女は日本人の問題にも手厳しい。
日本の某旅行業界団体からファイルを受け取って愕然とした。
PDFに書かれている内容が全部日本語なのだ。
彼女は中学レベルくらいの漢字も読めるが、それを読み取るには時間がかかる。
呆れてものもいえないどころか、不安爆発というか、日本人スタッフにこぼすこぼす。
彼女は先方に英語で資料の請求をおこなった。
返信は日本語でしかも添付資料は日本語。
海外の旅行会社へのイベント招待に関する資料にも関わらず、それは日本語であった。
「外国人の誰が日本語を読めますか?」
「日本人は本当にこのままでいいのですか?」
「私は日本がかわいそうで仕方ない」
彼女のいうことはよくわかる。
人一倍日本人の良いところを知っているはずだ。
時間がたつにつれよくわかる。
もう英語どうのこうのの問題じゃない。
日本人の日本語だけで生きていけるという発想自体がかなり大変なレベルにまで来ている。
日本には誇るべき技術や歴史や人びとのやさしさがあると僕は個人的に思っている。
でも、このままじゃあ孤立してしまう。
ビジネス云々以上に誰かに発信する時、日本語だけではやっぱり事足りない。
ケニアの人もブラジルの人も中国の人も日本を知る手段は英語なのだ。
ブロークンでも丸暗記でもなんでもいい。
自分たちの持っているものを伝えるためにはこのままじゃいけない。
世界の人たちはもう受け入れる準備を始めている。