8月初旬に映画「日本の一番長い日」を観に行った。今年の夏は終戦70年ということもあり、「戦争」というキーワードが知りたい欲求の中にキープされている。父親が祖父と大叔父の軍歴証明を申請したりで、戦争とくに太平洋戦争がらみの本や映像作品に意識して触れようとしているこの頃。
山崎豊子「二つの祖国」を読了。久しぶりに通勤で3週間同じ本を読み続けた。
太平戦争勃発とともに強制収容所に隔離された11万人の日系アメリカ人。祖国日本への思いとアメリカに忠誠を誓わなければならない苦悩。ある若者は日本に戻り日本軍に従軍。あるものはアメリカ軍に従軍しヨーロッパ戦線へ。また日本軍の暗号を解読する大きな役割をを果したのが日系アメリカ人という事を初めて知った。
極東軍事裁判の問題点も多く描かれている。また日本軍の捕虜虐待、婦女暴行、捕虜になることを禁じ玉砕していった若者たちも描かれている。
日系新聞の記者からアメリカ陸軍中尉となった主人公、天羽賢治を通して「日系人収容所」「アメリカに従軍した戦争」「極東軍事裁判」を日系人の目線から描く内容。
山崎豊子という人は大きな世界を描くことができる作家だけど、知られざる辺境の社会的弱者を描こうとする想いも感じられる。
山崎豊子の長編戦争作品はこの他「不毛地帯」「大地の子」などがある。いずれも未読なので要チェック。