昨日(2009年7月23日付)のJapan Timesの、一面にスリランカ内戦の難民問題について取り上げたAPの記事が掲載されていた。
僕が関わっているNGOが今後支援を考えている地域(スリランカ北部バウニヤ県)で現在、30万人近い国内避難民が押し寄せているという内容。記事の論調には政府批判さらに、現大統領のマヒンダラ・ラジャパクセ大統領の個人批判も含まれていた。
記事を中村先生に見せると、この外国人記者は先生のスリランカ滞在中に、国外追放処分にあった記者だと教えていただく。外国人記者だから国外追放で済んだ。スリランカ人だったら命の危険性さえある。開発独裁国家での取材には、命のやり取りがあると改めて痛感した。
事実を曲げて報道することは許されない。
事実からつむぎだされるものなら、国を相手にした主張・批判もいとわない。
それが本当にスリランカの民主的な発展に必要だと感じるのなら。
記者の信念に基づく記事に、AP、Japan Timesと世界中に情報が伝わる。
「志がないと、人は生きていけないんですよ。」
中村先生はそういって帰っていった。
志がなくても人は生きていける。
でも、それではただ生きているだけだ。
信念が人の心を動かすには、事実、具体的な行動が圧倒的に必要になる。
その途中にいることを感じながら、帰り道にいろいろ考えた。
自分のいる場所、位置を誰かから空の上から覗き込んでいる気がした。