SEIJI FUJIWARAのブログ

30代、貿易課で働く双子の父です。

悼む人

映画「悼む人」を観た。

悼む(イタム)とは・・・・

人の死を悲しみ惜しむ。(新明解 国語辞典)

 高良健吾演じる主人公は、不慮の死で亡くなった人を悼むため日本各地を歩いている。いじめに合い殺された若者、女を取り合い友人に殺された暴力団員、妻を殺そうとしもみ合いの末殺された男。

 マスコミが新聞、週刊誌で書きたてる内容と実際の故人との違い。わが子の死の原因が嘘で固められていることを嘆く母親。でも、主人公は殺した相手を憎むことをしない。亡くなった理由に固執することは、悼むことではないからと言う。

 

「恨むことは悼むことではありません」

「その人が誰に愛されていたか、愛していたか、人に感謝されていたか」

 

 よく知る人が死ぬと悲しい。呆然とし、なぜ亡くなったのかに固執する。周囲に亡くなった原因を聞き自分なりに納得させようとする。でも映画の主人公は、自分と亡くなった人との間の思い出が全てだと言う。恨みや憎しみは思い出を殺してしまうから。

 亡くなった人と自分との向き合い方、距離感。東日本大震災以降、突然の大切な人の死に向き合わざる負えない人たちが急増したことも悼む行為への関心の高さなのか。

今年で30歳になる。これから沢山の死に出会う。映画「おくりびと」以来の死者との向かい合い方を考えさせられる作品だった。

 

 本来悼むことのプロは宗教者だった。日本では古くから仏教、お寺のお坊さんだった。大切な人が亡くなり定期的に、お坊さんがお経を唱えに家に来てくれる。その合間に、気持ちの移り変わりを親族はお坊さんに話すことで、気持ちを和らげていた。現代なら心理カウンセラーとかもその手の職業。

悼むことを自分一人で抱え込む人の多さも、作品が投げかける課題のような気がする。

悼む人 [DVD]

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悼む人〈上〉 (文春文庫)

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